METライブビューイング オペラ『ローエングリン』を観る

メトロポリタンオペラ、今シーズンのうち、ワーグナーの『ローエングリン』を観てきました。もともとこの作品は、ワーグナーのオペラでは1、2位を争うくらい好きな作品です。いやー、圧倒的な声量、迫力でした。映画上映でのアップシーンの多用が生かされていることと、今まで何回も見てきた作品なのに、じっくり字幕を見ながら筋をこれほど緻密に追えたのは初体験かもと思い、新たな発見が多かったです。休憩入れて4~5時間もの長い作品ですがあまり気になりませんでした。
もちろん遠景で全体像を見るよさや、舞台で生で見るよさもあるのでしょうが。私のMET体験はこちら

作品は中世のロマンチックなものというより、宇宙から登場する異星人っぽいような演出。さらに、労働者・普通の市民のようなローエングリンの衣装の異質さ。合唱・多勢の人々は、音楽のモチーフや調の変化が、衣装の白、赤、緑の使い分けとして音だけで無く視覚的にも表現されていたのも新鮮でした。衣装変化には磁石を利用したとのこと。

解説にもあったように、夫婦・恋人などそもそも他人を理解するとはどういうことかというようなテーマも顕在化して、いろんなことを考えさせられました。合唱や、王の歌、その他登場人物のそれぞれのかけ合いに迫力さがある、第1幕が私はやはり一番好きだったのかということを再認識。第2幕はすぐに不吉な展開になるのですが、音楽としてはやや地味です。第3幕は序曲、結婚行進曲など有名な曲もあり、そもそも歌が多様で、音楽的にも多彩であることが素晴らしい。その他、指揮のヤニック・ネゼ=セガンの秀逸さも光りました。ベチャワのすごさも。

演出:フランソワ・ジラール、ローエングリン:ピョートル・ベチャワ(テノール)、
エルザ:タマラ・ウィルソン(ソプラノ)、オルトルート:クリスティーン・ガーキー(ソプラノ)、テルラムント:エフゲニー・ニキティン(バスバリトン)、ハインリッヒ:ギャンター・グロイスベック(バス)

なお、私の海外旅行で初めての現地調達でのオペラ体験は、ドイツ・ドレスデンのゼンパーオーパーでのもので、演目は『ローエングリン』でした。その頃は、カメラがデジタル時代ではなかったので写真がなかなか見つかりません。自分のものでない画像で、紹介します。

ドレスデンの美しい「ゼンパーオーパー/ザクセン州立歌劇場」
ドレスデンの美しい「ゼンパーオーパー/ザクセン州立歌劇場」
(写真AC)
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上野公園で緑の桜を見る ついでにはちみつ

先日上野公園に行ったとき、存在は前から知っていた緑色(黄色)の桜が咲いていたのに気づきました。すでにわずかしか見られませんでしたが。
この桜は、園里黄桜(ソノサトキザクラ)といい、前に写真を1点紹介したときがありました。あらためて見てみると、八重の花びらの部分も遺伝子が不安定なのか、先祖返り的に葉に戻っているもの、赤い色素が見られるものなど変化に富んでいます。桜もいろんな品種があるのが楽しいですね。品種の検索はこちらのサイト「桜図鑑」など。

ちなみに、これも先日手に入れた珍しい桜の花から採ったはちみつも紹介しましょう。九州からのもので、品種は染井吉野だそうです。やさしい味わいです。アカシアにも近いようで、おとなしいながら香り・味わいが少し豊かな感じでした。

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日本ソムリエ協会、例会セミナーに参加する ワインと日本酒

2023年、新年度のセミナーに参加してきました。今回、同じ日にワインに関するものと日本酒に関するものをダブルで参加しました。しかし、東京の例会セミナーは参加者が多いです。ワインのほうはすぐ埋まるし、キャンセル待ち人数も半端でないです。ここらは、協会も改善の必要性を表明していました。

参加したセミナーは、テーマBとして「ロゼ・オレンジ/アンバー 各ワインのテイスティングとその活用方法」、テーマAとして「酒母の違いによる日本酒の味わいの違いを探究する」でした。協会の約束として、セミナーの内容、資料のアップ、特定銘柄の紹介は禁止されていますので、以下の画像にとどめます。幅広い種類の紹介が参考になりました。

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新国立劇場オペラ『ボリス・ゴドゥノフ』の配信

新国立劇場が、ムソルグスキーのオペラ作品である『ボリス・ゴドゥノフ』を無料配信してくれています。期間は、2023年3月25日~2023年9月24日という6ヶ月間、太っ腹です。新国立劇場に対しては批判もしましたが、この時代しっかりロシアの作品もやるということは、大切なことですね。2022年11月17日の収録です。
実際にこの新作は、私も観に行ったのですが、今まで紹介する機会を失っていたのでした。何とも重厚で、現代的な演出でした。関心ある方は、こちらから、ぜひどうぞ。概略の紹介映像がすぐありますが、その下に本編があります。

指揮:大野和士 演出:マリウシュ・トレリンスキ 管弦楽:東京都交響楽団
ポーランド国立歌劇場との共同制作です。
また、この貴重な作品やロシアを語る映像も紹介します。以下のオペラトークです。

新国立劇場『 ボリス・ゴドゥノフ 』オペラトーク
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Zoom飲み会で、再びウイスキーとチーズ

久方ぶりのZoom飲み会です。今回のお酒と食べものですが、チーズに対してスコッチウイスキーでローランド(ハイランドに対して低地地方)の「グレンキンチー」を合わせました。蒸留酒のモルトウイスキーですね。スコッチでは、あまりローランドのものを飲む機会は少ないと思いますが、以前に購入していたものです。それもよくある「12年」というのではなく、特別なエディション(ディスティラーズ・エディション ダブルマチュアード)です。仕上げにシェリーのアモンティリャードの樽を使っています。
エジンバラからほど遠くないところにあるここの蒸留所は、ハイランドのものに対して軽やかな味わいとされます。この蒸留所はスコッチでも最大級クラスのランタンヘッド型の蒸留器を持ち、ジョニーウォーカーなどの原酒を大量に供給しています。現在の所有は、ディアジオ社です。

チーズは、今回イタリアチーズですが、「ペコリーノ・トスカーノ」、つまりトスカーナ地方の羊のチーズ、を合わせました。肌が極めて白く、くせもなくミルクの味わいがほどよくパクパク食べられます。ウイスキーは、穏やかで飲みやすいものでした。ほのかな甘みと香りが心地よく、すっきりとした味わいです。ストレート、オンザロック、水割りや炭酸割りもよいですね。前回、ウイスキーとチーズを合わせたときの記事は、こちらから。

話題は堅いものも多々ありましたが、時間を延長して終了しました。4人での集いでした。

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持ち寄りワイン会を楽しむ 新年の話 マルゴーのワイン

2か月に1回程度で持ち寄りワイン会を続けています。コロナ禍がひどいときは延期でしたが、そうでないときは静かに、しかし楽しく飲んでいます。開催していてもいつでも参加できるわけではなく私も行けるときに行きますし、メンバーもそのときどきで若干変わります。
この会は、毎回ある程度抽象的な「テーマ」に沿って、各人が自由な発想で選んで1本持ってくるというやり方です。だじゃれでも構いません。持参したワインはいつも重なることがないのが面白いです。皆それぞれの解釈・個性が違うということです。

今回のテーマは「ゆめ」でした。参加回数が多い人の中には、けっこう特徴というかポリシーがあったりして、持参ワインの傾向がはっきりしていることもあります。私もそのような感じで、もともと海外旅行が好きなこともあって、有名どころとかよく知られたものではない、現地調達で選んだワインをテーマにこじつけて持って行くことが多いです。質や美味しさは二の次なのですが、結構希少性もあり、それほど「はずれ」がないのが幸いです。

しかしこのところ、3年は海外に行っていませんので、調達ができていません。セラーに眠るものはありますが、テーマにあまりに合わなかったり、あまりに自信がないものはやめています。日本で選んだ海外のワインも個性がでますが、やはり私の持ち味は現地での勘によるセレクトですね。
さてそうとばかりは言っていられませんので、今回のワインを選びました。
夢のようなワインを手頃に、ということでも造られたフランスボルドー、マルゴーのサードワインである「マルゴーデュマルゴー」2011年を持っていましたので、そろそろ飲み頃でみんなとシェアしてもよいと考え、これにしました。ゆーめーなワイン、というだじゃれもあり、これはけっこう受けました。

また、新年としておまけにもう1本スパークリングも持っていきました。いわゆる「インスタ映え」するようなきれいな色で話題の「パープル・レイン」、それもスティルではなく泡にしました。複数本持ってくる人もいたせいか、合計で11本ものワインをそれぞれのペース・量で飲んでワイン会は終了しました。

持ち込みワインについてですが、スパークリングは飲みやすく好評でした。やはり紫色がきれいなのがよいですね。これは、西オーストラリアの自然志向のワインで、色素にチョウマメを使ったのも抗酸化作用があるからでした。故意に着色したのではありません。品種は、セミヨン、ソーヴィニョン・ブラン、シャルドネのブレンド。すっきり飲みやすいものでした。

また、マルゴーのサードワインは、2011年は気候がよい年であったので、2012年や2013年よりも遅れてリリースされたものです。この年の品種比率は、カベルネ・ソーヴィニョン55%、メルロー45%。タンニンはこなれていましたが、エレガントというより、まだまだしっかりしていて筋骨隆々の印象でした。

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金継ぎ体験

一部欠けているアンティーク洋食器があり、以前からいつか金継ぎ(きんつぎ)などで復活させたいと思っていました。今回、体験講座を受けられる機会がたまたまありましたので、やってみました。漆である程度本格的にと考えていましたが、今回の機会は「近代金継ぎ」、つまり本漆でなく人工漆を利用したものでした。欠けていたものは、英国・パラゴンのティーカップ&ソーサー。その一番下のティープレートのはじの部分を割っていたのでした。金彩を含んでいるので、金継ぎが合うのではと思っていました。

行った工程は、およそ以下の通りでした。
1.まずつなぐのはエポキシ樹脂を利用します。2種類の薬剤を合わせて接着。
2.しっかり着いたところを余分なところを削って落とします。このときあえて盛り上がりをあまり落とさずに楽しむこともできます。
3.人工漆を接着面に塗ります。このときは除光液で薄めながら、慎重に金彩を残したいところのみに着けていきます。
4.少し経って、金の粉をのせていきます。純金はもちろん高いので、今回は真鍮粉(銅と亜鉛の合金で、特に亜鉛が20%以上含むもの黄銅という。5円玉が例。)を使いました。製品によって、金の色合いが派手なもの、地味なものなど違いがあるようです。
5.乾燥は3日間。本漆ですと1か月かかるようなので、これでも短い時間です。
6.静電気が発生しない真綿(絹)を使い、余分なものをざっととり、水洗いしてすべて落として終了。

あえて金彩をしっかり残してみましたが、できばえはどうなのでしょう? よい経験でした。

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河津桜が満開 横浜で

このところ気温が高い日も増えてきています。外では河津桜が満開です。下の写真は、横浜で見られたものです。

河津桜(カワヅザクラ)は、静岡県河津町で発見されました。オオシマザクラカンヒザクラの自然交雑などから生まれたものということです。花の咲く時期が早く、赤い色が濃く大きいことから、目立ちますね。美しいです。桜の記事は以前、とからめて書きました。こちらです。

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ヒューストンバレエ『白鳥の湖』を観る

昨年2022年10月下旬に、演出・振付がひと味違っていて、めったに観ることができないアメリカのバレエ団の「白鳥の湖」が観られる(初来日)ということから、チケットを購入して観てきました。ヒューストンバレエ団です。ここは調べてみると、環境がとてもよく、日本人も多い、アメリカでもアメリカン・バレエ・シアター、ニューヨーク・シティ・バレエ、サンフランシスコ・バレエなどと並ぶバレエ団ということです。日本人プリンシパルの加治屋百合子さんなどが、いろいろ紹介の映像でも発言されています。今回は、映画『ブラックスワン』でも有名になったサラ・レインさんの日を選びました。

会場は上野の東京文化会館。今回はチケット代金の節約もあって4階席かつ横の方。けっこう視界が途切れました。内容については、うーん、これはまったく違うぞ。振付違いは、「ロメオとジュリエット」で極めて多様で、「白鳥の湖」でももちろんかなりあるのですが、ある種マイナーチェンジともいえ、そのようななかこれはかなり別物でしたね。
白鳥の湖といえば、オデット/オディールとジークフリート王子がもちろん中心であるほか、白鳥の群舞が印象的な作品ですが、この作品は男性の群舞もあります。つまり、第1幕に男性グループダンスによるダイナミックな踊りが入っているのです。また、白鳥の衣装が人間であるときと白鳥に変わっていることの区別をしていることも興味深いです。少し複雑ですね。これは芸術監督スタントン・ウェルチさんが振付けたもので、全体としてもとても特徴ある印象に残る作品でした。

指揮者は、ジョナサン・マクフィー、演奏は、シアターオーケストラトーキョーでした。

オディット/オディール:サラ・レイン、ジークフリート王子:吉山シャールルイ・アンドレ、ロットバルト:クリストファー・クーマー

アメリカのニューヨーク・シティ・バレエについては前に観劇の記事を書きました。

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東京バレエ団 上野水香オン・ステージを観る

東京バレエ団の特別公演「上野水香オン・ステージ」を、上野の東京文化会館で観てきました。上野さんもすでに大ベテランなのですね。相変わらずの姿、動きが素晴らしいです。
公演が3回あるなかで、私が行ったのは、以下の演目のときでした。


上野さんの『ボレロ』はかなり前に1回観ていて、今回2回目です。ボレロといえばアルゼンチン出身のジョルジュ・ドン(1947-1992年)が有名でしょう。映画『愛と哀しみのボレロ』でバレエを知らない人にも存在感を高めました。また女性ダンサーではフランス生まれのシルヴィ・ギエム(1965年-)が有名ですが、このボレロを踊ることができるのは、日本人女性では上野さんだけらしいです。ダンサーの身体、精神が試される作品ですね。

第1部
「白鳥の湖」第2章より(レフ・イワーノフ:振付、チャイコフスキー:音楽)
  上野水香、柄本弾(マルセロ・ゴメスの筋肉傷害のため交代)、ほか
「小さな死」(イリ・キリアン:振付、モーツァルト:音楽)
  工桃子ー山下湧吾、安西くるみー海田一成、加藤くるみー大塚卓、
  長谷川琴音ー宮川新太、平本菜子ー岡崎司、中川美雪ー生方隆之介
  
第2部
「シャブリエ・ダンス」(ローラン・プティ:振付、シャブリエ:音楽)
  上野水香、柄本弾、政本絵美、ブラウリオ・アルバレス
「パキータ」より(マリウス・プティパ:振付、ミンクス:音楽)
  涌田美紀、秋元康臣、ほか
「チーク・トゥ・チーク」(ローラン・プティ:振付、バーリン:音楽)
  上野水香、マルセロ・ゴメス

第3部
「ボレロ」(モーリス・ベジャール:振付、ラヴェル:音楽)
  上野水香、樋口祐輝、和田康佑、玉川貴博、岡崎司、ほか
   (東京文化会館 特別録音テープ使用)

ざっと感想をいいますと、「白鳥の湖」は2章の代表的なところを楽しめました。「小さな死」はなかなか気に入りました。剣を扱い難しそうだなと思いつつ、男女の生き生きとした姿がよいモダンで印象的な作品でした。「シャブリエ・ダンス」は、古典的なところにおしゃれが加わったような感じ。「パキータ」は、プリンシパルの涌田さんが可愛らしく一生懸命が伝わってきました。「チーク・トゥ・チーク」は、モダンでしゃれていましたが、ややおとなしめでしたね。
そして最後に「ボレロ」。暗闇の中からだんだん現れる赤く丸い舞台と周りを固める多数の男性。上野さんの踊りがしなやかでダイナミックでした。
全体としてもまとまりのある作品の集まりでした。

帰り際に運営のNBS(公益財団法人日本舞台芸術振興会)に確認して帰りました。イベント割には参加していないようです。いいね!

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