新国立劇場オペラ「蝶々夫人」を観る

プッチーニのオペラ。それも日本が舞台の『蝶々夫人』を観るのは久しぶりです。今回は、新国立劇場研修所出身で世界へ羽ばたいた中村恵理さんが蝶々夫人を、そして以前『カルメン』で初日、声(歌唱)だけ披露され、同じく研修所出身村上公太さんがピンカートンを演じました(来日予定のルチアーノ・ガンチさんが来れなかったため)。演出は、演劇部門の芸術監督も過去に務め、オペラでも『トスカ』、『夕鶴』など今に続く何本かの作品を手がけてきた栗山民也さんの作品で、今回で8回目の登場です。

久しぶりに観る(聴く)蝶々夫人。新鮮でした。美しい音楽、繊細で抒情的な歌が満載です。収集された日本の旋律もちりばめられています。一方、他のオペラに比べてなじみがあるものは意外に少ないともいえます。もちろんアリア「ある晴れた日に」があり、いくつかの二重唱、三重唱などもよいのですが。舞台はシンプルで、巨大な曲線を描く階段が印象的で1幕も2幕も効果的に人物の動きを引き出します。歌は皆さん安定した情感あふれる歌の数々でした。

ジャコモ・プッチーニ(1858-1924年)はなぜ当時、このような作品をつくったのでしょう。『マノン・レスコー』の出世作に続き、『ラ・ボエーム』『トスカ』という今日でも上演が多い有名作品の後のオペラがこれです。『蝶々夫人』は、1904年2月初演の失敗からすぐに改訂を施し、同年5月には成功しています。直接的には、ロンドンでの同名の芝居(原作がロングの小説、芝居はベラスコによる)を観て感動して制作にとりかかったのでしたが、この時代、少し前から欧米では東洋の島国に関心が広まっていたことがあります。パリ万博に日本が初参加したのは1867年のことでした。時代はどんどん動いています。そして、アメリカがアジア進出を始めた時代でもありました。

約2時間40分(第Ⅰ幕50分 休憩25分 第Ⅱ幕85分)
スタッフ
【指揮】下野竜也、【演出】栗山民也、【美術】島 次郎、【衣裳】前田文子、
【照明】勝柴次朗、【再演演出】澤田康子、【舞台監督】斉藤美穂
キャスト
【蝶々夫人】中村恵理、【ピンカートン】村上公太、
【シャープレス】アンドレア・ボルギーニ、【スズキ】但馬由香、【ゴロー】糸賀修平
【ボンゾ】島村武男、【神官】上野裕之、【ヤマドリ】吉川健一、【ケート】佐藤路子
【合唱指揮】冨平恭平、
【合 唱】新国立劇場合唱団、【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
カテゴリー: シアター, 文化 パーマリンク