オペラ 夜鳴きうぐいすとイオランタを観る

新国立劇場ヤニス・コッコスの新演出による『夜鳴きうぐいす/イオランタ』が、新制作作品として、4月初めに行われました。今回は2度目の緊急事態宣言により入国制限が延長されたため、海外から来日を予定していたスタッフ、キャストを急きょ変えて、さらに、演出・美術・照明・映像・振付のクリエーティブスタッフはすべてリモートによる活動で行われることになった、希有な創作です。

演出・美術・衣裳:ヤニス・コッコス、アーティスティック・コラボレーター:アンヌ・ブランカール、照 明:ヴィニチオ・ケリ、映 像:エリック・デュラント、振 付:ナタリー・ヴァン・パリス
指 揮:高関 健、合 唱:新国立劇場合唱団、管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

「夜鳴きうぐいす」は、イーゴリ・ストラヴィンスキー作曲、全3幕<ロシア語上演/日本語及び英語字幕付>50分、「イオランタ」は、ピョートル・チャイコフスキー作曲、全1幕<ロシア語上演/日本語及び英語字幕付>95分のロシア作品2つでした。両者ともロシア作品であることと、おとぎ話を元にしたものという以外、特に共通性はないものですが、アテネ生まれフランスの演出家ヤニス・コッコスは、その関連性を「真実」という言葉に結びつけています。

前者は、ストラヴィンスキー(1882-1971)により、3幕ものとしては1914年に初演されたもので、ワーグナーの楽劇などとは正反対という評価らしいです。シンプルながら幻想的で色彩豊かな舞台作品でした。声の表現もきれいでした。内容としては、機械のうぐいすより、生身のうぐいすということで、今の状況下での現実の人との触れ合いの渇望と見ることもできました。
後者は、チャイコフスキー(1840-93)最晩年の作品で、当時はバレエの「くるみ割り人形」などと同時に演じられていたようです。きれいな音楽に満たされていますが、正直私には、なじみはあまりなく初めての体験でした。舞台はシンプルでした。ロシア語作品は難しいのか、一部歌手の乱れがあったかと思います。目の見えないイオランタが愛を知り、現実に立ち向かうことで光を知るということで、これもコロナ下からの私たちの意欲というこじつけもできそうでした。

一部、舞台が公開されていますので紹介しておきます。現状での、新国立劇場オペラの新制作への意欲が感じられた作品群だったといえるでしょう。

[キャスト:夜鳴きうぐいす] 夜鳴きうぐいす:三宅理恵、料理人:針生美智子、漁師:伊藤達人、中国の皇帝:吉川健一、侍従:ヴィタリ・ユシュマノフ、僧侶:志村文彦、死神:山下牧子、三人の日本の使者たち:高橋正尚/濱松孝行/青地英幸

[キャスト:イオランタ] ルネ:妻屋秀和、ロベルト:井上大聞、ヴォデモン伯爵:内山信吾、エブン=ハキア:ヴィタリ・ユシュマノフ、アルメリック:村上公太、ベルトラン:大塚博章、イオランタ:大隅智佳子、マルタ:山下牧子、ブリギッタ:日比野幸、ラウラ:富岡明子

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
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