楽劇「ニーベルングの指輪 第1日 ワルキューレ」を観る

新国立劇場で、久しぶりのワーグナーのオペラ(楽劇)「ニーベルングの指輪 第1日 ワルキューレ」を先月観てきました。いわゆる「指輪」の中の人気作品、一番なじみがあるものです。しかし、長い! 休憩入れて5時間20分です。マスクをつけての体力勝負。

新国立劇場
新国立劇場

今回は、さすがに外国からのキャストは1人で、日本人(外国で活躍している方もいます)の力量を確認したものとなりました。新国立劇場では、もとは2015年からの3年間で上演されていたもので、単純化されてわかりやすいながら、印象的な舞台表現が特徴です。作品の中では特に有名な「ワルキューレの騎行」とともに、いくつかの曲はなじみがあると思います。
今回のコロナ下では、演出の一部を変更し、管弦楽もアルフォンス・アッバスによる縮小版での演奏(数は減らしても必要な音はすべて含まれているという)となりました。

指揮:大野和士、演出:ゲッツ・フリードリヒ、美術・衣裳:ゴットフリート・ピルツ、照明:キンモ・ルスケラ、管弦楽:東京交響楽団、協力:日本ワーグナー協会

ジークムント(第1幕):村上敏明、ジークムント(第2幕):秋谷直之、
フンディング:長谷川 顯、ヴォータン:ミヒャエル・クプファー=ラデツキー、ジークリンデ:小林厚子、ブリュンヒルデ:池田香織、フリッカ:藤村実穂子、ゲルヒルデ:佐藤路子、オルトリンデ:増田のり子、ヴァルトラウテ:増田弥生、シュヴェルトライテ:中島郁子、ヘルムヴィーゲ:平井香織、ジークルーネ:小泉詠子、グリムゲルデ:金子美香、ロスヴァイセ:田村由貴絵

全体として、長いながらけっこう集中して観る・聴くことができました。数回しか観ていない「指輪」ですが、音楽も物語の筋も頭にすっと入ってきました。コロナ下ゆえの集中もあったのかもしれません。箱の中で筋が進むかのような構成の第1幕、斜めの舞台構成が印象的な第2幕、光で火を表す第3幕、それぞれ印象深い舞台でした。次の「第2日ジークフリート」を続けて観たくなってしまいました。

ワルキューレの概略は、神であるヴォータンと人間の女性の間に生まれた双子の兄妹、ジークムントとジークリンデの悲恋、そしてヴォータンの愛娘ブリュンヒルデの父への反抗・別れなどが描かれる作品です。タイトルにあるワルキューレとは、北欧神話に基づいて戦場で生者と死者を見定める女性たちのことです。ちょうど第3幕の「ワルキューレの騎行」の場面は、ワルキューレたちがちょうどコロナ下の病院で闘っているような感じも想起したことや、このときけっこう長目の地震の揺れがあり、せっかくの曲の印象がややうすれたのは残念でした。
また今回のジークムント役は、声などの特徴に合わせて登場する1、2幕をそれぞれ別の方が登場しました。基本的にはなかなか声質も演技もしっかりしていて安定していたのですが、それぞれ1回くらいはずすところがあったのは、さすがにワーグナー作品は体力・スタミナもとりわけ求められるのかなと、素人の私もむしろ感じてしまいました。今回の作品は、部分的に公開されています。

新国立劇場夜景
新国立劇場夜景

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
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