国立能楽堂 6月特別公演 能『土蜘蛛』、狂言『呼声』ほか を観る

6月の特別公演はなかなか面白かったです。狂言と能のみ紹介します。

一調 曙 (あけぼの) 金春安明・大倉源次郎 
脇仕舞 羅生門 (らしょうもん) 宝生欣哉(下掛宝生流)
舞囃子 東北 (とうぼく) 金剛永謹(金剛流)
狂言 呼声 (よびこえ) 山本東次郎(大蔵流)
能 土蜘蛛 (つちぐも) 入違之伝・白頭・眷属出之伝・ササガニ (いれちがいのでん・はくとう・けんぞくだしのでん・ささがに) 観世銕之丞 ・(実改メ)梅若桜雪(観世流)

謡や仕舞の後、続けて狂言『呼声』です。主人に断りもなしに、使えていた太郎冠者が出て行ってしまいます。次郎冠者を連れて家へと呼びに行きます。居留守を使う太郎冠者ですが、平家節、小唄節、踊り節など様々な節回しで呼びかけられると、たまらず出てきてしまいます。3人の節回しが楽しい狂言です。

シテ/太郎冠者:山本東次郎、アド/主:山本則重、アド/次郎冠者:山本則俊

そして休憩後、いよいよ能『土蜘蛛』です。歌舞伎では、以前『蜘蛛の絲宿直噺(くものいと およづめばなし』を観ているので、能ではどのように表現されるか楽しみでした。また、上に記載したように、今回は4つもの小書があります。つまり特別の演出が4つもあるということです。
入違之伝は、橋掛かりで独武者と前シテがすれ違ったときに糸を投げつける演出。白頭は、通常は土蜘蛛が赤頭のところが、白頭に(眷属の2人は赤頭でした)。眷属出之伝は、新たな演出のようで、2人の眷属が塚から出て攻防を賑やかで激しくしているもの。ササガニは、アイの2人がカニとなって登場し、蜘蛛とカニを勘違いした様での賑やかな演出でした。

病に伏している源頼光のところに、侍女の胡蝶が見舞いにきます。そこに怪しげな僧が出てきて糸を投げつけます。駆けつけた独武者に頼光は起こったことを話すと、武者は退治を約束して従者とともに化生が住む塚を崩し、出てきた蜘蛛の精との激しい闘いが起こります。

前シテ/僧:観世銕之丞、後シテ/土蜘蛛の精:梅若桜雪、ツレ/源頼光:観世清和、
トモ/従者:観世三郎太、ツレ/胡蝶:観世淳夫、ツレ/土蜘蛛の精の眷属:観世喜正、
ツレ/土蜘蛛の精の眷属:梅若紀彰、ワキ/独武者:森常好、ワキツレ/従者:舘田善博、ワキツレ/従者:梅村昌功、ワキツレ/従者:野口能弘、
アイ/蟹の精:山本泰太郎、アイ/蟹の精:山本則孝

60分くらいのコンパクトな能ですが、蜘蛛の糸が放たれることが何度もあり、けっこう派手で、演出も面白いです。道具や仕掛けも興味深く、登場人物も多く、通常の能とはあしらいが違います。とても印象的な能でした。
なお、たくさん放たれた糸(和紙)は登場人物の移動などで多くひきづられていったり、取りのぞかれたりしましたが、舞台の終演後までもなお残る様子は写真のとおりでした。

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
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