先月、映画『ドンバス ロシアとウクライナ戦争を理解するためのドンバス13のレッスン』を観てきました。けっこう観客は多かったです。滑稽さと気持ち悪さ、見ていられないシーンもありました。これをどのように理解したらよいのでしょう? 簡単に言葉にはできません。
ウクライナの東部ドンバス地方にはロシア系住民が多く住んでいて、ウクライナ軍との武力衝突が日常的にある内戦状態となっています。この映画は、ウクライナ側というか、ウクライナでも異才とされるセルゲイ・ロズニツァの監督・脚本による13のエピソードで真実を映し出そうとした作品です。セルゲイ・ロズニツァは、ロシアによる戦争を批判しつつも、包括的なロシア映画の排除には反対したり、ウクライナ側が強調する国民的アイデンティよりも世界市民である立場からの発言をしています。2018年カンヌ国際映画祭《ある視点》部門監督賞受賞作品。
アクターが演じて流すフェイクニュースの制作風景から始まり、汚職、地下シェルターでの過酷な生活風景、地域警察による略奪風景、一般市民による兵隊捕虜への暴力、普通の結婚式風景、軍による砲撃を受けるシーン、そして最初にでていたアクター達が殺されそこから再び新たなフェイクが始まる・・など、今日を見る視点が淡々と、しかしこれでもかと描かれていきました。物事は複層的に見ていくしかないようです。何が嘘で何が事実なのか。立場が変わればまた変わるでしょうし。この映画を見た方々のコメントも参考までに貼っておきます。
監督・脚本:セルゲイ・ロズニツァ
出演:タマラ・ヤツェンコ、ボリス・カモルジン、トルステン・メルテン、アルセン・ボセンコ ほか