国立能楽堂4月定例公演 能『八島』、狂言『通円』を観る

4月の話です。このときは、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した千利休(1522-1591年)の生誕500年ということで、お茶関係のテーマが多かったです。定例公演は以下の通りでした。

狂言 通円 (つうえん)  山本東次郎(大蔵流) 約30分
能  八島 (やしま) 弓流・那須(ゆみながし・なす) 長島 茂(喜多流)約105分

最初に上演された狂言「通円」は、旅の僧が通りかかった宇治橋付近で、昔大勢の客に供養で茶を点てたのだが、あまりに大人数で力尽きて死んでしまった茶屋坊主・通円の話を聞くという物語です。茶筅、茶碗、柄杓などを使い、抹茶を点てる仕草など興味深い狂言でした。
この狂言は、シテが面を着け、囃子・地謡なども後ろに伴う作品で、まるで能のようでした。このような狂言は「舞狂言」といいます。この作品は、世阿弥の能「頼政」をもじった珍しいものらしいです。

シテ/通円の亡霊:山本東次郎、ワキ/旅僧:山本則孝、アイ/所の者:若松 隆

そして、休憩後に上演された能「八島」は、源義経が主役の修羅能、小書き(演出)として「弓流」と「那須」が付いています。讃岐の屋島の浦を訪れた旅僧が、浜辺の作業小屋に宿を借ります。漁師からこの浦で繰り広げられた源平の激戦、なかでも海中に落とした弓矢を拾い上げた義経の様や、源氏の那須与一が扇の的を一矢で射貫く様などが強調されます。シテの姿、舞が強く印象に残る作品でした。

前シテ/老人、後シテ/義経の霊:長島 茂、ツレ/男:佐々木多門、
ワキ/旅僧:大日方寛、ワキツレ/従僧:野口能弘、ワキツレ/従僧:野口琢弘、
アイ/所の者:山本泰太郎

今回、ロビー広間には千利休在判(利休本人の花押が黒漆で記されている)「瓢箪花入」(株式会社那須屋蔵)が特別展示されていました。けっこう大きく20cmくらいはありましたか。写真撮影不可でしたので、このサイトでどうぞ。
さらに、ロビーでは2店のお茶の販売が行われていました。

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
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