映画「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」を観る また豊かな中東について

以前、中東に旅行した際の話題(ルーブルアブダビ訪問)を書くなかで、レオナルド・ダヴィンチの作品かどうかは議論があるが、当時の高額落札のことや、それが、いつどこで公開されるのかなどを私自身が追っていた時期があったことなどに触れました。『サルバトール・ムンディ』(救世主)のことです。

その後、あるところで情報を知りました。私自身は気づいていなかったのですが、すでに昨年(2021年)これに関する映画が作られ公開されていたのですね。『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』(フランスのジャーナリストでもあるアントワーヌ・ヴィトキーヌ監督作品)です。検索したところ、すでに関東地区では、柏市でしか上映がないことを知り、あわてて予定を合わせ行ってきました。柏はそれほど行ったことがありませんでしたが、柏駅西口からすぐのところでした。映画館は「キネマ旬報シアター」です。ここはネット販売がないのでやや早めに行ったのですが、おっ、行列!こんなに関心が、と思ったのは間違いで、ほぼ同時間の上映である濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」に来ている人がほとんどでした。そうですよね。しかしこちらもぱらぱらとは入っていました。

映画は、いやー、面白かったです! ノンフィクション(ドキュメンタリー)ですが、息をつかせぬ感じでスリル感があります。
この作品は、すでに一度はロンドンのナショナルギャラリーで公開されていた(2011年11月~2012年2月)のですね。またクリスティーズ(ニューヨーク)での競売前の公開でも(2017年)です。しかし競売後での、私も訪問したUAEの「ルーブルアブダビ」2018年とダヴィンチ没後500年記念のルーブル美術館「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」(2019年10月~2020年2月)では公開されませんでした。

作品の由来、つまり映画が追うことはおよそ、こんな感じです。美術商ロバート・サイモンが競売で約13万円で買ったものを2年かけて修復ナショナルギャラリーに伝えて専門家5人の意見を聞き、真作かどうか意見は分かれたが、ダ・ヴィンチ作として展示に至る。その後、ロシアの大財閥、美術顧問、サザビーズなどがからみ、その後クリスティーズにて、現代アート部門での取り扱いで競売4億ドル(手数料入れて4億5030万ドル)で落札される。絵画での最高額でありました。購入者はサウジアラビアの皇太子ムハンマド・ビン・サルマーンの友人バドル王子と推察されました。

全体として、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)や中東のお金持ちマネー、したたかな美術商や修復家と2つの巨大オークション会社、2つの美術館が絡み合うところなどがスリリングでした。また修復のやりすぎは許されるのかとか、真偽を見るとき、来歴や研究分析とともに、作品の持つオーラをどう評価するか、などいろいろ考えさせられました。

なお、中東の石油に基づく豊かな社会ポスト石油を考えたしっかりした戦略などを見ていくための、いくつかの画像も合わせて載せておきます。

まずはサウジアラビアです。近代的なビル群と、古くからの文化を大切にする両面が見られます。

そして、カタールではイスラム芸術美術館。またオペラハウス含めた新しい芸術・商業施設群が建築中でした。もうオープンしているのでしょうか。UAEのドバイ新しいビルやオペラハウス。最後に、安定していて穏やかな国であるオマーンは、かなり前からオペラハウスロイヤルオペラハウスマスカット/王立歌劇場)も稼働していて、私も以前に観劇してきました。快適な空間でした。

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
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