文楽を観る 『平家女護島 (へいけにょうごのしま)鬼界が島の段』と『釣女 (つりおんな)』

この2月、文楽を観てきました。もしかして、意識して観るのは初めてだったかもしれません。東京住まいですので、場所は大阪の国立文楽劇場ではなく、東京の国立劇場小劇場での公演です。文楽はやはり出演者の距離が近いせいなのか、公演が始まってもしばしば新型コロナウイルス感染症の陽性者が出て中止になることがあります。この2月公演も前半、夜の部が中止になりましたが、後半再開しましたので、私もチケットを買い直して何とか観ることができました。

第3部の演目は、『平家女護島 (へいけにょうごのしま)鬼界が島の段』と『釣女 (つりおんな)』でした。前者は、近松門左衛門作の人形浄瑠璃が始まりで、能の『俊寛』や『平家物語』が題材で、歌舞伎にも移された演目です。私も、能『俊寛』や歌舞伎『平家女護島』を観ていましたから、筋はおよそわかりますので、なじみやすいと思い選びました。後者は、聞き慣れないものでしたが、狂言の『釣針』をもとにしているという作品でした。

舞台は感激ものでした。右手の方向(上手側/床という)には太夫(浄瑠璃語り)三味線。そして、正面の舞台では主な人形は基本的に3人で操作します。それも能で言うと直面(ひためん)だなと思うような顔をそのまま露出した人形遣い(主遣い)が右手とかしらを、ほかの2人は黒子のように姿を覆った形で、左遣いが左手を、足遣いが脚を担当しているようです。うーん面白い。主遣いはかなり目立ち、表情も興味深いです。また分担で成り立っている人形自体は、かなり細かい動きが可能です。その他大勢みたいな役は1人で操作するようです。人形は、「かしら」(首)の違いで役をつくっています。よくつくられていますね。

というように、すべてが新鮮でした。演目の前者は、歌舞伎の筋とほとんど同様に進んでいました。ドラマチックですが、少し硬いですね。やや眠くなるところも。

豊竹呂太夫、鶴澤清介

人形役割:俊寛僧都/吉田玉男、平判官康頼/吉田玉翔、丹波少将成経/吉田文哉、蜑千鳥/吉田勘彌、瀬尾太郎兼康/吉田玉助、丹左衛門基康/吉田簔紫郎、雑色/大ぜい

後者は狂言が題材でわかりやすく笑える作品でとても楽しかったです。太郎冠者の声もよく通りました。筋としては、独身の大名が同じく独身の太郎冠者を連れて、西宮の恵比寿神社に詣でます。願をかけて、得た釣り竿を使うと女が釣れた。顔を見てみるととても美しい。早速婚礼をと。太郎冠者も負けじと糸を垂らすと、やはり女が。なんと醜女であった。掛け合いがはじまり、途中から、太郎冠者は美しい方の女を連れて逃げ出してしまいます・・。

太郎冠者/豊竹芳穂太夫、大名/竹本小住太夫、美女/竹本碩太夫、醜女/竹本南都太夫

人形役割:大名/吉田玉勢、太郎冠者/吉田玉助、美女/桐竹紋吉、醜女/吉田清五郎

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
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