国立能楽堂1月普及公演を観る 能「龍虎」、狂言「魚説法」

今年も能楽を毎月少しずつ観ていきます。他の舞台と違って、上演が少ないのでまだまだ経験したいです。1月初めの記録です。
まずは、武蔵野大学教授の三浦裕子さんによる「絵空事と能―龍虎図をめぐって」という解説がありました。能「龍虎」(今回はりょうこ、と読みます)は、作者が観世小次郎信光ですが、国立能楽堂でも主催公演で5回くらいの記録しかない作品です。「龍虎図」を継承発展させる形での舞台化作品とのことです。龍と虎は、どちらも力が伯仲した存在、かつ質的に相反するものでもあります。能では、虎をシテ、龍をツレとして、前者が白頭、後者が赤頭と紅白の祝言性も見せています。武器としては、虎が竹、龍は打杖を持っています。なかなか楽しみになってきました。

続けて、狂言「魚説法 (うおぜっぽう)」(和泉流)が先です。
まだ修行も間もない新米の浜育ちの僧が、寺の住持が不在のため説法を頼まれます。魚の名前を言い集めてそれらしく聞かせればよいと、テンポ良くでたらめを言うだじゃれが楽しい狂言です。15分くらいの作品でした。

シテ/出家:三宅右近、アド/施主:三宅右矩

休憩をはさんで、いよいよ能「龍虎 (りょうこ)」(喜多流)です。
前半はのどかな風情でしたが、後半は竹林に潜む虎と、黒雲より降り下る龍激しい闘いになります。中国の詩や画の題目として知られる「竜虎相搏つ(あいうつ)」の世界を表現した能です。迫力がありながら、霊獣でもあり新年の晴れやかさを楽しめました。80分くらいの作品でした。

前シテ/老人、後シテ/虎:粟谷明生、前ツレ/男:谷 友矩、後ツレ/龍:佐々木多門、ワキ/入唐僧:舘田善博、ワキツレ/従者:則久英志、ワキツレ/従者:野口琢弘、アイ/仙人:三宅近成

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
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