国立能楽堂 能「鵺」を観る

11月下旬の企画公演です。今回は解説もなく、上演中はろうそくを灯し、電気の照明と字幕システムも一切使用しない厳かな舞台でした。演目が夜道を使いに行く狂言「空腕」と能「鵺」というおどろおどろしいものでしたので、雰囲気が合っています。また、そもそも今の能楽堂は、もともと能が外で行われていたのを舞台ごと屋内に持ってきたものですので、今の時期夕方から夜にかけて行われる公演は、当然暗いところで行われていたのでしょう。内容的には、狂言、能とも登場人物も少なくシンプルな組み合わせでした。今回、珍しく中正面で観ました。けっこう前の方でしたので、見やすかったです。

狂言 『空腕(そらうで)』 茂山忠三郎(大蔵流)45分
能  『鵺(ぬえ)』小書:白頭(はくとう) 武田 尚浩(観世流) 80分

狂言「空腕」です。主人から淀で鯉を買ってくるようにと言われた太郎冠者は夜道で物影におびえて借りた太刀を置いて来てしまいます。これは、様子を見に来た主人におどかされたことによるものでした。そうとも知らずに帰って主人に嘘の腕自慢を始めるのですが…。2人のシンプルながら言葉が豊富な演目でした。

シテ/太郎冠者:茂山忠三郎、アド/主:茂山 茂

「鵺」です。鵺は、頭は猿、尾は蛇、手足は虎という妖怪なのですが、その亡霊が語る、敗者の側から自らを語る悲哀を描いた作品です。『平家物語』源頼政の鵺退治譚を題材としています。これまた、登場人物が3人で、シンプルな演目でした。鵺の橋掛かりで横に動く足使いは初めてみました。暗がりで、はっきりとは見えませんでしたが、面も興味深かったです。小書の「白頭」はその名の通り、頭が白く、衣装も白系で光っている位が重いものということです。敗者ながら、高貴という感じがしました。

前シテ/舟人、後シテ/鵺:武田尚浩、ワキ/旅僧:御厨誠吾、アイ/里人:茂山千五郎

能面について、ご自分で制作もされていて、いろんな種類をまとめているサイトを見つけましたので、紹介しておきます。こちらです。「能面・狂言面」です。

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
カテゴリー: シアター, 文化 パーマリンク