映画「パブリック 図書館の奇跡」

アメリカでは、図書館を題材もしくは舞台にした映画の秀作がこのところ日本でも話題になっていますね。ひとつは、日本では昨年公開されたフレデリック・ワイズマンのとても長いドキュメンタリー映画ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス。すばらしい作品でした。あまりにニューヨークのパブリックライブラリーの活動が幅広く、公共とは何か、図書館とは何かを深く考えるきっかけになりました。

そして今、日本で公開されている作品は、パブリック 図書館の奇跡です。観に行ってきました。エミリオ・エステベスが製作・監督・脚本・主演です。すごい。

舞台はアメリカ・オハイオ州のパブリック図書館。大寒波の到来で路上で凍死者が出ている状況。市の緊急シェルターもあふれていて、行き場を失った図書館利用者の常連であるホームレスたちは困って図書館閉館後に立てこもりを宣言し、実行しました。その数70人ほど。それを見た主人公の図書館員は驚きますが共感し、行動を共にします。避難場所を求めただけの行動が、検察官・警察・図書館長・マスメディアなどの様々な思惑の中で、とうとう強行的な鎮圧へと進むかとなったとき、さて立てこもりした人たちはどのように乗り切るのでしょうか!?
平和的デモンストレーションをするホームレスたちのひとりひとりの個性も際立ち、図書館員、図書館長たちの「図書館の大事さ・図書館は民主主義の砦」ということが当たり前のように体現化している行動・言葉の重さ。何事もゆるい日本では、はっとさせられます。

日本でも人ごとでなく、過去にもオリンピックを理由としたホームレスの強制退去があり、6月ですら東京都庁そばでの炊き出し活動が大雨の中でも敷地から追い出されたことがあったのも思い出されます。弱者・マイノリティというだけでなく、「他者の排除」ということを、もっと現実・概念として広げて考えることもできますね。
このような題材を面白い映画として作り上げるのは秀逸と思いました。

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
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