先日(7月23日)新国立競技場で、来年に延期されたオリンピック東京大会に向けたメッセージイベントを行い動画配信をした、ということをニュースで見ました。当たり前ながら、「どこまで政治利用するんだ」との批判も多かったようですが、もともと今のオリンピックは政治とお金にまみれたイベントともいえます。一般市民としては、そのような現実にも目をそらすことなく、一方、純粋にスポーツを楽しみたい・素晴らしいパフォーマンスを見たい、世界の人々と交流したいという気持ちも併せ持っているものです。
イベントで使われた、ランタンに灯された聖火の火を見ながら、少し原点に帰ってみましょう。ギリシャからつながれた火といいますが、そのもとはここから点火されたものです。
近代オリンピックは、フランスのクーベルタンによって、このギリシャのオリンピアの祭典をもとにしたスポーツの世界大会開催を提唱(1892年に提唱、1894年に決議)されたことから始まりました。
オリンピアは、アテネからコリントス地峡を経てずーと西の方へ移動したところ、ペロポネソス半島の西部の町です。さらに進むとイオニア海の方に至ります。ここは、ゼウス信仰(ゼウスはギリシャ神話最高の神)の中心地であり、全ギリシャ的な祭典である古代オリンピックが行われた場所です。このオリンピア考古遺跡はもちろん世界遺産になっています。
近代オリンピックの採火は、このオリンピアのヘラ神殿跡(紀元前7世紀のもの、ヘラはギリシャ神話最高位の女神、ゼウスの正妻)において凹面鏡を用いて太陽から採る形で行われています。神殿の建築様式は、柱頭に装飾がないドーリア(ドーリス)式の柱が見てとれます。
この神殿跡から少し行ったところに、古代オリンピア競技が行われたスタディオン(スタジアムの元になった言葉)があります。狭い通路を行き、残っているアーチをくぐると、見えてきました。(もともとは通路は覆われた形だったようです)
手前に見える白い石でできたラインがスタートラインです。紀元前8世紀の第1回大会より、直線およそ192mあるこのスタディオンで陸上の短距離走競技が行われてきました。
なお、スポーツの歴史を見るには、このサイト(笹川スポーツ財団)も参考になります。