新国立劇場オペラ、何とか観劇できました。今回は、イタリアオペラ、プッチーニの人気作のひとつ「トスカ」です。それも、3人のメインキャスト、そして指揮者も外国からの参加なのですが、ビザ発給禁止の前から早く来日して、さらに14日間の待機を経ての万全の準備を行っての登場です。それも4人とも一流です。世界中の劇場が国際的なキャストを集めることがままならない状況での奇跡でしょうか。感激です!
![新国立劇場オペラ「トスカ」](https://i0.wp.com/blog.taskgeorge.com/wp-content/uploads/2021/01/op1-s-rotated.jpg?resize=600%2C800&ssl=1)
スタッフ・キャストは、以下の通り。
指揮:ダニエレ・カッレガーリ、演出:アントネッロ・マダウ=ディアツ(新型コロナウイルス感染症拡大予防対策のため一部変更)、再演演出:田口道子
美術:川口直次、衣裳:ピエール・ルチアーノ・カヴァッロッティ、照明:奥畑康夫
合唱:新国立劇場合唱団、児童合唱:世田谷ジュニア合唱団、管弦楽:東京交響楽団
キャスト
トスカ:キアーラ・イゾットン(イタリア出身)、カヴァラドッシ:フランチェスコ・メーリ(イタリア出身)、スカルピア:ダリオ・ソラーリ(ウルグアイ出身)、アンジェロッティ:久保田真澄、スポレッタ:今尾 滋、シャルローネ:大塚博章、堂守:志村文彦、看守:細岡雅哉、羊飼い:渡邉早貴子
![トスカ タイムテーブル](https://i0.wp.com/blog.taskgeorge.com/wp-content/uploads/2021/01/op2-s-rotated.jpg?resize=600%2C800&ssl=1)
![](https://i0.wp.com/blog.taskgeorge.com/wp-content/uploads/2021/01/op3-s.jpg?resize=640%2C480&ssl=1)
「トスカ」は、1900年1月14日、ローマのコスタンツィ劇場が初演。このオペラは、ほぼ100年前の1800年6月17日、18日のローマが舞台という、かなり設定が限定されたものですが、この演出も作品にかなり忠実なものとなっています。新国立劇場では、当初からこの版を続け、今作が8回目の登場となっています。私も忘れましたが、3,4回くらいは観ているかもしれません。今回は、いつになくじっくり筋や、細かい音楽まで、追って味わうことができました。指揮者のさばき、楽団の演奏も繊細で、じっくりと歌、曲を味わうことができました。声が出せない分、アリアの後の拍手も長く続けられました。
やはり3人のメインキャストは素晴らしく、テノールのメーリは声を張り上げることがないながら、しっとりとした声がしっかり劇場の隅々まで届くような歌いっぷりでした。ソプラノのイゾットンも感情豊かな声、歌いっぷりが印象的でした。バリトンのソラーリも演技がしっかりして安定していました。また周りを固めるキャストもそれぞれの味を出していました。
オペラは、愛と死を扱った悲劇が多いですが、この作品はメインキャスト3人がすべて最後までに死んでしまうというものです。そのような衝撃的な作品ですが、間には「妙なる調和」、「歌に生き、恋に生き」、「星は光りぬ」などの美しいアリア、二重唱など聴かせる歌、曲が目白押しです。
このような機会に出会うことができて大変幸せでした。最後のカーテンコールでの拍手の嵐、それに対して身振りで応えるキャスト。お互い声を上げることができない状況でしたが、だからこそ拍手や身振りに込める思いは強かったと思います。カヴァラドッシは「星は光りぬ」を歌って死んでしまいましたが、生きていて良かったです。