国立能楽堂 8月企画公演 袴能『融』を観る

このところ更新できていませんでした。能楽の連投ですが、8月後半の国立能楽堂公演にも行ってきましたので、書いておきます。
今回のスケジュールは以下のものです。狂言はありませんでした。

1.独鼓『鵜之段 (うのだん)』 謡:実改メ 梅若 桜雪、小鼓:田邊恭資 
2.仕舞『道明寺 (どうみょうじ)』 塩津哲生(喜多流)
3.小舞『道明寺 (どうみょうじ)』 山本則重(大蔵流)
4.袴能『融 (とおる) 酌之舞 (しゃくのまい)』 大槻文藏(観世流)

独鼓は、鼓の演奏で聞き所を披露するもので、今回「鵜飼」の一部を紹介。2番目の仕舞は、能の見所を謡だけで舞うもので、狂言ではそれを小舞といいます。今回は双方、能の「道明寺」が題材です。しかしその違いには興味深かったです。特に小舞の動きが大きく速いのが生きがよく面白かったです。

休憩後に、袴能『融』です。『融』については世阿弥の傑作といわれるので、期待は大きかったです。あれ、でも待てよ、能の前に「袴」という文字が入っています。袴能とは、冷房がなかった時代の暑い季節に面、装束を着けずに行われたものだったのです。道理で、「素の魅力として」というテーマが書いてあったわけです。それはそれで、また新たな発見がありました。ワキやアイは通常面を着けませんが、シテは面を着けることが多いので、今回その表情や発声に地の姿が現れて興味深かったです。やはりしっかりしていました。

融のあらすじです。都の六条河原院の廃墟に旅僧が訪れたところ、老人が汐汲みの桶を持った姿で現れます。老人は塩竃(製塩)のことを語り、消えていきます。後に源融の霊が登場し、月光を浴びながら舞い遊び、やがて去って行くのでした。

人物も少なくシンプルですが、気品のある能でした。シテ、ワキともしっかりしていて、地謡との掛け合いも気持ちよかったです。能面がないゆえに顔、発声がまっすぐに聞こえるのも心地よかったです。

前シテ/老人、後シテ/融大臣:大槻文藏、ワキ/旅僧:殿田謙吉、
アイ/所の者:山本泰太郎

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
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