新国立劇場オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」を観る

新国立劇場にバロック・オペラの登場です。バロック・オペラ上演は、大野和士芸術監督の方針のひとつで、本来、2020/2021年のプログラムとして、『ジュリオ・チェーザレ』が計画されていたのですが、コロナ禍で中止になっていたところでした。
今回、初めて登場したのが、ドイツ生まれのクリストフ・ヴィリバルト・グルック(1714-1787年)作曲『オルフェオとエウリディーチェ』(1762年)、(イタリア語上演)です。
確か過去に世界中でバロック・オペラが流行っていたときがあったと思いますが、私もそのときいろんな場所で何本か観ていますし、心地よい音楽・楽器と独特の歌唱・雰囲気にはまるところがありました。
今回のものは、テーマ(オルフェオとエウリディーチェ)としてはとても有名で(ギリシャ神話)、演劇その他でも何回か観てきたと思います。そういえばこのブログには観劇記録を書いていませんが、METライブビューイングの今季(2021/22シーズン)の新制作のひとつが、現代の作曲家のマシュー・オーコイン作曲、メアリー・ジマーマン演出「エウリディーチェ」でした。時代を現代に置き換えて、話を妻の視点からとらえたという興味深い作品でした。
今回のグルックのオペラは、おそらく初めての経験です。この作品は、「オペラの改革」といわれているものですが、果たして何が改革でしょうか? それは、それまでのオペラが旧来のレチタティーヴォ(話すような独唱)で筋が進むところを、方法を変えたのです。つまりオーケストラの役割を充実させて、音楽と演劇の融合を目指した方法をとったということです。

演出・振付・美術・衣裳・照明が勅使川原三郎、指揮が鈴木優人。演奏:東京フィルハーモニー交響楽団、合唱:新国立劇場合唱団、コルネット(ツィンク):上野訓子/徳丸幸代、シャリュモー:満江菜穂子、チェンバロ:重岡麻衣。
キャストとして、オルフェオ:ローレンス・ザッゾ、エウリディーチェ:ヴァルダ・ウィルソン、アモーレ:三宅理恵。アーティスティック・コラボレーターまたダンサーの佐東利穂子、ダンサーのアレクサンドル・リアブコ、高橋慈生、佐藤静佳、といったメンバーでの作品です。

約2時間(第Ⅰ・Ⅱ幕60分 休憩25分 第Ⅲ幕35分)

今回の作品は、なじみやすく、感情の振幅が明快な音楽・歌唱のものであったとともに、舞台がシンプルかつ効果的なとても工夫されたもので(巨大な白百合の造形も効果的です)、長くない作品ながら、このところの新国立劇場の作品としても特に秀でていたと感じました。歌唱だけでなく、踊りでの表現もありよかったです。一番の中心のキャストであるオルフェオ(カウンターテノール)とエウリディーチェの(ソプラノ)は特に光っていました。心地よい時間を過ごすことができました。そう、この作品は、ハッピーエンドで終了するのです。

雰囲気を感じたい方は、こちらから。新国立劇場、指揮の鈴木優人さんのオペラトークです。

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
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