抗体検査再び

この8月中に、久しぶりに抗体検査を受けてきました。東京その他で新型コロナ感染症が著しく増えてきたこと、自分も昨年2月以来、幸い熱がでたことは一度もないのですが(どんなに高くても36.8℃くらいが最高だったと思います)、若干体調がすぐれないとか、喉に少し痛みが感じられる等々くらいのことは何回かありました。前回の「抗体検査」は、2020年12月だったので、すでに8ヶ月経っていることもあり、経費負担が痛いですが、自費で行いました。また今回併せて、「スパイクタンパク質の抗体検査(中和抗体検査)」も行っている医療機関が一部出てきましたので、それが出来るところを探して同時にやってみました。後者については、ワクチン接種前や接種後の自分の体の中に出来ている中和抗体の変化をみるひとつの参考になるということなので、好奇心や自分の状況をみるひとつの目安(もちろん過度に依存することや考えすぎることは厳禁ですが)として今回初体験してきました。

やりかたは、一時に数mLの血液をとることで終了です。後日結果を聞きに行きます。
今回の「抗体検査」のほうは、第1回目に受けた精密検査と同じで、ロシュ社のものです。つまり、感度が100%、特異度が99.8%のものですが、IgGとIgMの抗体の区別はできないです。そして、今回初めて受ける「中和抗体検査(スパイクタンパク抗体検査)」は、アボット社のもので感度99.35%、特異度99.6%といわれています。
違いは、前者は過去の感染の可能性をみるもの後者は過去の感染の可能性及びワクチン接種前後の中和抗体の産生状況がみられる可能性があるものといえます。メカニズムとしては、下に引用した新型コロナウイルスの模式図でいうと、前者はウイルス内部のヌクレオカプチドタンパク質(N)への抗体の保有を、後者は外側のスパイクタンパク質(S)、つまりいわゆるトゲトゲタンパクへの抗体の保有をターゲットにしているということです。資料引用のサイトは、宮崎県環境衛生研究所国立感染症研究所です。

さて結果ですが、以下の通りでした。

2種類の抗体検査の結果
2種類の抗体検査の結果

数値の見方としては、前者はCOI(Cut off index)が1.0未満であると陰性、1.0以上が陽性です。そして後者は、定量値(抗体価)が50AU/mL未満が陰性、50AU/mL以上が陽性ということです。
相変わらず、私は感染経験なさそうですね。後者にいたっては、数値が著しく低いです。いわゆるコロナウイルスには、風邪の原因となる4つのウイルス重い肺炎を起こす2つのウイルスがあるといわれていますが、そのただの風邪を引き起こすウイルスへの過去の感染などで、スパイクタンパクへの抗体ができることによって交差免疫などが起きていないのか、という可能性も期待したのですが、質問してみるとこの検査は新型コロナウイルスのスパイクタンパクのみをターゲットにしているので、そういうことはみることができないとのことです。それがみられないのであれば、次なる好奇心としてはワクチンを打った人、感染経験があった人のデータなどと比べてみたいものです。
自分の住んでいる自治体にもできたら希望者、もしくは治験対象を絞ってこのような検査を行いデータとして残してはどうか、などと提案しましたがすげなく「そのようなことをするつもりはない」、などとはねられました。

ちなみに数値の目安ですが、人によって違いますが、いくつかの研究によると、ワクチン接種1回目で1000もしくは2000AU/mL(以下単位省略)台、2回目で22000もしくは6000台になること(中央値)や4000台くらいでかなり高い効果があるとか、800台くらいあれば十分大丈夫などといわれているようです。これらが属性(年齢、喫煙経験、感染経験など)によって上がりにくいとか、時間の経過によって上がって下がってくる、などはこれらの研究などからみられていることもあります。実際は、ヒトにはこれらの液性免疫だけではなく、細胞性免疫もありますので、はたらきはきわめて複雑です。検査はあくまで一部をみるものということです。しかし検査をしてみないと何もみえないということも一方あるのです。

さらに今回、時期がそれほど違わないときに、別にキットでの「抗原検査」を受ける機会がたまたまあり、こちらの結果も陰性でした。抗原検査はPCR検査ほど精密なものではありませんが、陽性の場合はほぼ感染しているとみてよいものです。
変化の様子を載せておきましょう。高校生の時などに行った「色素のペーパークロマトグラフィー」の実験みたいに移動して判定をしているのですね。

追加 ニュースで、ファイザーのワクチン接種後できた抗体量が「3ヶ月で4分の1に減ってしまう」というのがありましたので、どのような検証を行ったのかを紹介しておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=RTSEgdLWgOA
ANNニュースより

この件に関して、藤田医科大学の広報に聞いてみますと、調べたものは富士フィルムの「アキュラシード COVID-19 抗体」というものということでした。私の調べた上記の方法とは違うものの、スパイクタンパク質をターゲットにした抗体をみることは変わらないようです。これらの詳細は、HPなどで紹介しないのですか? と聞きますと、現時点ではどうするかはわからないとのことでした。さらに検索してみますと、「アキュラシード COVID-19 抗体」については、このニュース(化学工業日報)でもう少し詳しい情報が出ていました。

栃木県宇都宮の「インターパーク倉持呼吸器内科」の倉持仁先生のところでも、どの方法かはわかりませんが、自分のところで分析機器を持っていて、ワクチン接種後の抗体価の変化を調べているようです。抗体価は上がりにくい人、時間の経過とともに下がってしまう人などいろいろなパターンがみられるようです。

海外の検証含めて、ワクチンを過信することはできない、思いのほか効かない(もしくは効き目が変わってしまう)ことは事実のようです。今のところ、せめて重症化だけはある期間については防いでくれる、という程度なのかもしれません。またそれを生かすためにも、これらの抗体価検査を実施して参考にすることは大切なことと考えます。

追加 倉持仁先生のところの抗体検査の機器、試薬のことがYouTubeにあがっていましたので、紹介させていただきます。ロシュ社のもので、おそらくスパイクタンパクをターゲットにしているものと思われます。

インターパーク倉持呼吸器内科の抗体検査機器

追伸 2021年12月6日の東京新聞に、アボット社の方法を使って、記者がワクチン接種後の中和抗体の変化を計測した記事が載っていましたので、参考にここに掲載しておきます。

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
カテゴリー: 社会問題 パーマリンク