国立劇場で歌舞伎公演を観る

前日になってメールが来ました。あれ、中止かなと思いましたが、第2部の方にPCR検査陽性者が出たため、今月はこれからは中止ということでした。私が買っていたのは、第1部でした。ということで、何とか行ってきました、国立劇場

国立劇場
国立劇場

国立劇場大劇場(半蔵門・永田町にある)は、もしかして初めての来場ですが、能楽の「俊寛」がチケットをとれないこともあって、歌舞伎の「俊寛」を観てみたくなったのです。
「平家女護島(へいけにょごのしま)-俊寛-」です。もともと、近松門左衛門作人形浄瑠璃として5段の時代物だったものが、1720年に歌舞伎としても上演されて以来、2段目の鬼界ヶ島の場(俊寛ともいう)が繰り返し演じられることが多かったところ、国立劇場は、序幕「六波羅清盛館の場」と二幕「鬼界ヶ島の場」の2幕を上演することにより、一層後半のシーンがわかりやすくなるという設定をしているということです。実際の上演時間は、序幕が35分、2幕が75分という構成です。

11月歌舞伎公演
11月歌舞伎公演

国立劇場は敷地もですが、大劇場内部も広いです。舞台自体は横の上から見る座席がないので、銀座歌舞伎座よりは小さめかもしれません。シャンデリアも豪華ですね。
調べてみると、舞台の高さは、6.3mで銀座の歌舞伎座と同じよう、幅は22mで銀座歌舞伎座は27.57mほどなので、やや小ぶりでした。

上からロビーをみる
上からロビーをみる
国立劇場舞台と客席
国立劇場舞台と客席

主な配役は、以下の通りです。
平相国入道清盛/俊寛僧都:中村吉右衛門、俊寛妻東屋/丹左衛門尉基康 :尾上菊之助、越中次郎兵衛盛次:嵐橘三郎、能登守教経:中村歌六、有王丸:中村歌昇、菊王丸:中村種之助、平判官康頼:中村吉之丞、丹波少将成経:中村錦之助、海女千鳥:中村雀右衛門、瀬尾太郎兼康:中村又五郎。

さて作品ですが、「六波羅清盛館の場」では、横暴な平清盛の姿が描かれます。謀反に加担した俊寛の妻東屋でさえ自分のものにしようとする様は、悪やのぅエロ親父という感じでしょうか? 東屋は、清盛の甥である能登守教経の助言を得て、自害の道を選びます。
「鬼界ヶ島の場」では、(清盛との演じ分けでの)俊寛の人間味があふれていました。流された孤島での厳しい生活ながら、丹波少将成経、平判官康頼との交流。島の海女の千鳥と成経の恋を成就させた親のような心。自分だけ赦免状にない深い悲しみ、とりなしで途中まで行くことを許されながら、千鳥が船に乗ることを拒否されると、代わりに残る道を選ぶことなど。
ほかにも細かいやりとりや無慈悲な瀬尾太郎兼康を討つ行いなどがあるなか、ひとり島に残り見送るだけの姿をさらす俊寛。諦念と心残りの両方が錯綜する内面を表わしながら静かに幕が降りました。

花道
花道

帰りには、敷地内にある国立劇場伝統芸能情報館に寄ってきました。1階の小さめの展示のみがやっていて、入場無料。今は「国立劇場の養成事業 心と技を伝えた50年」の企画展を行っていました。養成事業は今年で50年になるということです。分野によって、この養成事業での研修生が支えている大多数のものもあれば、能楽は17%程度、歌舞伎は32%と少なめのものもありました。それでも今や「生まれ・家」だけではないのですね。

伝統芸能情報館
伝統芸能情報館

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
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