オペラ「アルマゲドンの夢」を観る

新国立劇場が、2019年の「紫苑物語」に続く同劇場の日本人作曲家創作委嘱シリーズ第2弾となる作品が公開されました。芸術監督の大野和士さんが自らタクトを振り、再開してから初めての外国人キャストを交えての布陣です。どんなに苦労があったことでしょう。今だからこそ公開したい作品として、世界初演の作品の2日目に、私は立ち会いました。
台本のもとは、H.G.ウェルズです。SFの創始者のひとりといわれ、タイムマシン、火星人、透明人間などの、それ以降に出てくる題材のもとになるものを取り入れた人です。

この作品は、彼の短編小説である「アルマゲドンの夢」A Dream of Armageddon (1901)(邦訳「世界最終戦争の夢」)がもとになっています。アルマゲドン(ハルマゲドン)とはもともと新約聖書のヨハネ黙示録に由来する「最終決戦、世界の終わり」のことですね。
今回委嘱した作曲家は世界的に活躍する藤倉大さんで、懇意にしているハリー・ロスの台本、同じくリディア・シュタイアーの演出で出来上がりました。1時間40分、休憩なしの上演です。

新国立劇場
新国立劇場
オペラ「アルマゲドンの夢」ポスター
オペラ「アルマゲドンの夢」ポスター

主な出演者は、以下の通りです。
クーパー・ヒードン:ピーター・タンジッツ(アメリカ出身)、フォートナム・ロスコー/ジョンソン・イーヴシャム:セス・カリコ(アメリカ出身)、ベラ・ロッジア:ジェシカ・アゾーディ(オーストラリア出身)、インスペクター:加納悦子(二期会会員)、歌手/冷笑者:望月哲也(二期会会員)、合唱:新国立劇場合唱団、管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

合唱から始まり、子どもの歌で終わる舞台は、何とも刺激的で不気味な感じの作品でした。均一な仮面をかぶったような不気味な民衆強い光が舞台を照らすシーンや映像を駆使したシーンが印象的です。音楽はあまり突出することなく、全体を締めているような感じでした。テーマとしては、戦争、全体主義、パンデミック、いろいろ広げて解釈することが可能で、現在、そして未来の不気味さを暗示しているようでした。まだまだ咀嚼できていませんが、じっくり感じたことを思い出しながら、これからもじっくり考えていきたいと思いました。

新国立劇場の中
新国立劇場の中

一部画像が、公開されました。

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
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