リニア問題について

昨今の首都圏の報道を見ていますと、一部を除いて、リニアをめぐる問題は静岡県の川勝知事の発言等が中心になっている感じです。そこでは、大井川の流量減少問題は理解できるけれど、あたかも「静岡県がリニアの工事を遅らせている」ような雰囲気にもなっているようです。

これは、とんでもないですね。リニアをめぐる問題は静岡県だけでないですし、問題点は多々あります。JR東海が自腹でやると言っていたのに、財政投融資3兆円で政府援助の大盤振る舞いをしたこと、莫大な電気エネルギーを使うこと(原発再稼働ともからんでいるといわれています)、車内や高圧送電線の電磁波問題自然環境破壊問題(水涸れ・残土処理はどの地域でも問題、岐阜のウラン残土や南アルプスの破壊、その他)、立ち退き労働組合も反対していますし、悲しいかな地域における対立を招いています。工事の大手ゼネコンの談合もありました。

そもそも、8割がトンネル内を走る無人運転。在来線・新幹線ともつながらないし、時速500kmで走っても、品川から名古屋、大阪へ、他の鉄道・飛行機などと比べても実際の利便性は高くないでしょう。人口減少社会では、経済的にも社会的にも意味は少ないし、さらにこの度のポストコロナ社会ではなおさら大量の移動は起こらないでしょう。また、トラブル、事故があったらどうなるのでしょう? 電気が止まると、ブレーキが利かなくなったり、さらに電磁波の大量被爆が起こったり、燃焼火事に弱いとも言われ、また逃げるにしても大地下からどうやって地上に出てくるのか。今や、中国・フランスの鉄道は時速400kmから500kmを出し、営業運転でも時速300kmを超える時代、超伝導によるリニアは無駄そのものになるのではないでしょうか。

リニア試験車
リニア試験車(写真ACより)

市民・住民に対しては、もともと情報を出さず、今でも説明責任が果たされていないのです。そこで、市民はまとまって事業認可した国土交通省の処分に対して、行政不服審査を利用して異議申立てをしました。しかし国土交通省はその審査を一向にしないので、そこから738名が原告になって、2016年に行政訴訟の裁判を起こしました。これが、現在も継続中で、この3月に東京地裁は原告の絞り込みをしようとした中間判決を出すとしていましたが(原告団はもちろん反対)、新型コロナウイルス感染症の影響で、これが止まっています。9月くらいにまた動き出すかどうかです。実は、機会があって私もこの原告のひとりに入っているのですが、わずかな資金を出す以外は、平日日中の裁判傍聴にもまだ、一度も行っていませんでした。

静岡県知事の発言も、地元静岡の放送局などのほうが、恣意的な切り取りをしないで、十分発言を報道しているようですが、首都圏のメディアも静岡の一部切り取り報道だけでなく、裁判のこと、今でも各地で説明会、抗議行動が行われていることなどをきちんと公平に報道してほしいものです。リニアの賛否には言及しないでやり方を批判している人やリニア自体には賛成する人でさえも、少なくともいろんな立場・考えを持った人たちが、今まで一度も一堂に会して議論してこなかった・させてこなかったことに驚いているようです。経緯は、こちらをどうぞ。

追加 先日、訴訟の中間判決期日は、12月1日になったと連絡がありました。

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
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