演劇『焼肉ドラゴン』を観る

新国立劇場で『焼肉ドラゴン』を観てきました。今年は、日韓国交正常化60周年。その記念公演としての上演でもあります。劇自体が「日本語・韓国語上演/日本語字幕付」の作品です。そもそも、この劇は2008年に新国立劇場が韓国の芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター)とのコラボレーション企画として、鄭 義信さんに書き下ろしを依頼し制作されたもので、今回が4回目の上演にあたります。新国立劇場では、私はオペラ、バレエは、新作中心に1回は観る機会をもつことが多いですが、演劇は興味深いものだけを中心に観ていて、実はこの作品は初めてです。小劇場での公演が基本で、10月中から始まり、まだ観ていない方、今回は11月にソウル、12月にはなんと福岡、富山の公演を経て、凱旋公演として戻って中劇場の場で初めて行われますので、興味ある方はぜひどうぞ。
第1幕90分 休憩15分 第2幕80分という長いものですがそれを感じさせず、かつ始まる前20分から、また休憩中後半もパフォーマンスがあるという、あたかも舞台と観客席がつながっているような演出です。

  • 小劇場へ
  • 池の奥が入口
  • カフェがオープン
  • 新国くまさんも出迎え
  • 舞台のセット
  • この舞台の座席配置
  • 休憩でカフェタイム
  • 万博1970年のシンボルをはさんで

私は興味なかったですが2025年は大阪・関西万博が開催されましたが、過去の1970年には大阪万博(テーマ「人類の進歩と調和」)がありました。その誰しもが高度経済成長に浮かれる時代の片隅で、焼肉屋の「焼肉ドラゴン」の赤提灯が毎日灯る。店主・金 龍吉の家族は在日コリアンですが複雑で、先妻との間にもうけた二人の娘・静花と梨花、後妻・英順とその連れ子・美花、そして、英順との間に一人息子の時生がいます。お店では常連のお客などとともに、泣いたり笑ったり歌ったりけんかしたり、裕福ではないけれど賑やかな生活を送っていました。しかしそのような中、しだいに時代の波が押し寄せてくる、というような物語です。

戦後史の陰を描いたといわれる同作品ですが、時代の変化の中で、そのまま日本に残る人、韓国へまた北朝鮮へと渡っていく人、それぞれの人生
日本人、コリア、在日いろいろな交流を描く作品ですが、その視点だけにとどまることなく人間としての普遍的なことまで描いているものといえましょう。
そう、人間だものいろいろあるさ。泣いたり笑ったりの舞台でした。

作・演出:鄭 義信、翻訳:川原賢柱、美術:島 次郎、照明:勝柴次朗
音楽:久米大作、音響:福澤裕之、衣裳:前田文子、ヘアメイク:川端富生
擬闘:加藤 学、演出助手:城田美樹、舞台監督:北条 孝、大垣敏朗
[キャスト]
千葉哲也、村川絵梨、智順、櫻井章喜、朴 勝哲、崔 在哲、石原由宇、北野秀気
松永玲子、イ・ヨンソク、コ・スヒ、パク・スヨン、キム・ムンシク、チョン・スヨン

新国立劇場「新国立劇場の演劇『焼肉ドラゴン』舞台映像」

ジョージ について

旅行大好き、飲食大好き、劇場、博物館・美術館大好き、好奇心旺盛なごくふつうの会社員です。社会問題含め、いろいろ書いていこうと思います。
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