東京国立博物館で「神護寺‐空海と真言密教のはじまり」展がけっこうな規模で行われていました。前期後期で若干展示内容が変わる中で行ったのは前期です。
この特別展示は、この2024年が京都の高雄にある神護寺にとって創建1200年になること、また空海(774-835年)の生誕1250年になることを記念として企画実現したものです。
紅葉の名所でもある京都の高雄にある神護寺は、和気清麻呂が建立した高雄山寺と、同じく清麻呂ゆかりの寺院である神願寺というものが合わさってできたものです。平安時代初期に、唐へ最新の密教を求めて渡り、金剛界・胎蔵界の両部の体系的な密教を授けられて帰国した空海(弘法大師)が、後にここを活動の拠点にして以後、真言密教の正式寺院となりました。空海の死後、荒廃しましたが、後白河天皇や源頼朝の支援を受けた文覚により再興されました。
今回の目玉はいろいろありますが、寺院外初公開のご本尊である国宝「薬師如来立像」(平安時代8~9世紀)はもちろんのこと、5体がすべて揃う「五大虚空蔵菩薩座像」(国宝、平安時代9世紀)なども素晴らしいです。また現存する最古のものといわれる、空海が制作に関わった4m四方もの大きさの「高雄曼荼羅(両界曼荼羅)」の世界(赤紫色に染色された絹に金銀泥で仏や菩薩などを描く彩色がないもの)も圧巻です(国宝、平安時代9世紀。前期展示が「胎蔵界」後期展示が「金剛界」)。
他にもいろいろありますが、平安時代から鎌倉時代、室町時代、江戸時代など1200年に渡る至宝が集まった展示でしたね。
サービスである、唯一の写真撮影OKの場所にあったものは、「二天王立像」(平安時代、12世紀)と「扁額」(小松宮彰仁親王による1883年に揮毫されたもの)でした。これも感激でした。