東京のアーティゾン美術館(旧ブリジストン美術館)で『ブランクーシ 本質を象(かたど)る』展をやっていましたので、行ってきました。コンスタンティン・ブランクーシ(ルーマニア出身。1876-1957年)はけっこう日本で採り上げられるのは珍しいので、楽しみでした。
私の出逢いは、かなり前に確かヨーロッパかどこかの国へ行ったとき、宿泊地の近くの外に彫塑がいくつか並べられていて、面白いなと思ったのがその初めだったかと思います。
今回の展示は、内容的には写真が多く、関連する絵画と20点くらいの彫塑があるだけで量的には若干残念だったのですが、タイトルにもあるように本質を見極めるというのには十分だったかもしれません。印象的で可愛い作品の『接吻』はこのアーティゾン美術館の所蔵です。他にも、ごろっとした『眠れるミューズⅡ』などの作品が観られます。
今回、作品は展示場ではすべて番号が記されているだけで、素材や解説などは一切省かれていたやりかたでした。意図としては、作品そのものとできるだけ対峙してほしいというものらしいですが、その場で確認ができない、つまり観ることが完結しないし、紙の解説は字が小さいし、会場は暗いのであまりよいとは思えませんでした。対峙したければ、本人が解説を読まなければよいのだし、バリアフリーから言っても適切だろうかと疑問に感じました。
一方、「アトリエ」の展示では、自然光を模した会場の光が明るく、作品が明確に見え、壁や天井などの反射により表情が変わるよい展示だと思いました。
ブランクーシは、短期間師事したロダンはもちろん、デュシャン、マン・レイ、イサム・ノグチほか、そして、同時期に特別展示のあった清水多嘉示など実に様々な人たちと交流があったことは興味深かったです。