新国立劇場バレエの『ホフマン物語』を観てきました。ホフマンといえば、関連作品として新国立劇場バレエにも登場した『コッペリア』がありますが、こちらはE.T.A.ホフマン(1776-1822年)の1つの物語『砂男』にヒントを得ながら、明るい喜劇として構成されたものでした(ローラン・プティ作品)。むしろ今回のバレエは、オッフェンバックのオペラと近しく、ホフマンのさらに2つの物語(『顧問官クレスペル』と『大晦日の冒険』)からの題材をも加えた3部構成を中心に全体作品を創り上げたバレエといえます。
この作品は、英国のピーター・ダレルが振付、大原永子前芸術監督が2015年に新制作したものの再演です。男性の主人公ホフマンが通しで作品を貫き、場面で異なる3人の女性がそれぞれ魅力を出し、そこに姿を変えた悪魔が絡むという、多様でありながらも全体的な物語をバレエで創造するという難しさもあるように思いました。音楽は、オッフェンバックのオペラ曲のみならず他作からの転用もありとても美しいものでした(編曲がジョン・ランチベリー)。
私が観た舞台の主なキャストは以下の通り。他の回も含め、贅沢な布陣でした。
ホフマン:福岡雄大
オリンピア:池田理沙子、アントニア:小野絢子、ジュリエッタ:柴山紗帆
リンドルフ/スパランザーニ/ドクターミラクル/ダーパテュート:渡邊峻郁
指揮:ポール・マーフィー 管弦楽:東京交響楽団