今月、国立能楽堂で行われた「狂言の会」に行ってきました。緊急事態宣言下でもあるので、キャンセル自由、また狂言の前に行われる予定であった素囃子(すばやし)の「下り端」を中止、3本の狂言も休憩なしで連続して上演し、20時までに終了というやり方で行われました。
3本とは、「餅酒」和泉流、「泣尼」大蔵流、「牛盗人」和泉流です。「餅酒」は、大雪のため行くのが遅れていた年貢を都の領主に納めに来た2人の百姓が歌を詠み、舞うという明るい作品です。シテ/越前国の百姓:松田髙義、アド/加賀国の百姓:奥津健太郎、アド/奏者:野口隆行、でした。
「泣尼」は、まだ説法をしたことのない僧が、感動話によく泣くという泣尼を呼び出していわばやらせを行う話。泣尼は面(おもて)を着けています。居眠りをしたり、タイミングが合わないおかしさが笑わせます。シテ/出家:茂山七五三、アド/施主:茂山千三郎、アド/尼:茂山あきら、でした。
最後の、「牛盗人」は、親孝行を扱った作品で、鳥羽離宮の牛を盗んだ親を、子が牛奉行に訴えるというドキッとさせる筋なのですが、そのことによって親の命を救うという人情話でありました。牛奉行は、衣装も姿も貫禄があり立派でしたね。シテ/兵庫三郎:野村万作、アド/牛奉行:野村萬斎、小アド/太郎冠者:高野和憲、小アド/次郎冠者:月崎晴夫、子方/三郎の子:松原悠羽太、でした。
今回も、脇正面の橋掛かりに近いところで観てきました。真正面から観られない半面、出入りに近く親近感があります。分散退場ですが、帰路につく観客のひけは早かったです。