今また、新型コロナウイルス感染症の陽性者数が増えてきましたが、少し前から気をつけながら再開された演劇に行ってきました。場所は、新国立劇場、小劇場。その前に他の新宿の小劇場でクラスター騒ぎが起きていましたが、こちらの対策はしっかりしていました。以下のように、数を半分に減らして、消毒、検温、来場者カードの記入(事前に書くことを推奨)、チケットもぎりは本人にて、入場はブロックごとに。ブッフェ・クロークなどの中止、パンフ以外の販売中止。声援、入り待ち・出待ち禁止。開演前後休憩時の換気、マスク着用、等々の細かな注意事項がありました。
原作・台本があのミヒャエル・エンデです。そう、子どもも楽しめる作品ながら深い意味を感じざるを得ない物語が有名です。とくに「モモ」は大好き! 「はてしない物語」もよいですね。この演劇は、翻訳が高橋文子、演出がドイツ生まれの小山ゆうなです。出演は、北村有起哉、あめくみちこ、松尾 諭、森下能幸、林田航平、花王おさむの6人の個性あふれる俳優陣。
今回演出として、それぞれが役に応じたマウスガード(例えば、カラスはくちばしのような、とか)をつけて演じる形になっていたのが、違和感なく舞台に集中できました。さて物語は、このような感じでした。主役の魔法顧問官が悪魔と契約した自然・動物を破壊するノルマを、大晦日が終わるまでに達成できなくてあやうく差し押さえにあいそうなところを、同様な境遇の伯母とともに、唱える願いと逆のことを起こす「魔法のカクテル」をつくり差し押さえを避けようとするのです。それをスパイとして潜入していたカラスと雄猫が、「大晦日の聖人」の力を借りながら何とか止めようとする、という話です。エンデのことだから、あれは自然破壊・動物の絶滅を表して…とか、逆さまの願いにはこのような意味が…、などと難しく考える必要はありません。ユーモアあふれる舞台にひたって、良い願いを素直にかなえましょう。
舞台を観られる幸せ、劇場でのうきうきしたあの感じ、を回復するのはまだ達成、道半ばです。幕間の飲食の楽しさなども味わえないことが、こんなに残念なことだとは改めて再認識しました。回復を求めるのか、違う道を探していくのかも、まだまだ判断がつきません。楽しみながらも心は複雑でした。